list_magatama島根県の古墳時代の玉類

島根県では、松江市玉湯町の花仙山で産出するメノウや碧玉などを用いて大量の玉類が製作され、全国に流通しました。史跡出雲玉作跡をはじめとして、多くの玉作遺跡が花仙山周辺から見つかっています。
このように島根県は、玉類の一大生産地を擁することから、多種類の石材で多様な形態の玉類が出土することが特徴と言えます。ただし、ガラス玉や滑石の大量出土例が少ないことから、玉類全体の出土量という点では他県に比較して少ないという点が指摘されます。
島根県の主な玉出土遺跡位置

金崎1号墳の出土玉類

金崎1号墳

位置:島根県松江市西川津町

島根大学考古学研究室所蔵

5世紀後半に築造された全長36mの前方後方墳の竪穴式石槨から出土した。玉類の内訳は、碧玉製勾玉5・管玉4・棗玉2、瑪瑙製勾玉6、水晶製垂玉1、ガラス製勾玉6・ガラス製小玉364、滑石製子持勾玉2・臼玉多数である。多様な素材で、複数の形態の玉を製作する出雲系玉類の特徴がよく表れる。

大原遺跡の玉作関係遺物

大原遺跡の玉(島根県)

位置:島根県安来市佐久保町

島根県教育委員会所蔵

5世紀後半〜6世紀初頭の玉作工房と考えられる竪穴建物2棟が発見された。碧玉やメノウ、滑石を素材として勾玉、管玉、臼玉、有孔円盤を製作したことが未完成品や失敗品の存在からうかがえる。また、珪化木や砂岩製の砥石のほかに、和歌山県や徳島県周辺から運ばれた結晶片岩製砥石も使用されている。出雲玉作が宍道湖・中海沿岸の広域に展開する5世紀を代表する玉作遺跡である。

上野1号墳の出土玉類

上野1号墳の玉(島根県)

位置:島根県松江市宍道町

島根県教育委員会所蔵

5世紀後半に築造された全長40mの円墳の粘土槨・割竹形木棺から出土した。玉類の内訳は翡翠勾玉1、緑色凝灰岩管玉9、碧玉管玉31、瑪瑙勾玉1、ガラス勾玉1である。メノウや碧玉などの出雲・花仙山産の石材を使用して、複数器種の玉を生産開始した時期の精緻な作例である。