list_magatama兵庫県の古墳時代の玉類

古墳時代初頭の但馬地方では、弥生時代からの伝統を引き継ぐ形でガラス玉の副葬が続いています。瀬戸内側では石製の勾玉・管玉からなるセットが前期古墳に副葬されますが、これらの玉類は製作技術から見ると弥生時代からの古い特徴を持つものと古墳時代の新しい特徴を持つものが混在しているようです。
中期になると姫路市宮山古墳に代表される渡来系の遺物を持つ古墳で、金属製玉類が副葬されるようになりますが、金属製玉類が副葬された古墳は数が限られています。
中期後半から後期には小規模な古墳にも玉類が副葬されるようになり、石製の玉では水晶製、それ以外では土製やガラス製の玉が増えることになります。
兵庫県の主な玉出土遺跡位置

宮山古墳の出土玉類 第2主体部

宮山古墳の出土玉類 第2主体部(兵庫県)

位置:兵庫県姫路市四郷町
古墳時代中期に築造された直径約30mの円墳である。竪穴式石郭の主体部を3基有し、出土品は垂飾付耳飾など渡来的な様相を帯びる。玉類は全ての主体部から出土し、碧玉管玉、硬玉勾玉、ガラス玉が共通する。これに加え第2主体部からは琥珀棗玉、碧玉勾玉、瑪瑙勾玉、第3主体部からは金空玉、滑石製勾玉、滑石製臼玉、ガラス管玉が出土している。

但馬城ノ山古墳

但馬城ノ山古墳出土品(兵庫県)

位置:朝来市和田山町東谷
但馬最大の河川・円山川の左岸に展開する尾根の先端部を削り出し成形した、長径36mの円墳。埴輪・葺石など外表施設はない。埋葬施設は1基で、長さ6.4mの割竹形木棺を直葬したとみられる。出土品には三角縁神獣鏡3面・銅鏡3面・鉄製品(武器・工具)・勾玉(硬玉・ガラス・琥珀)・碧玉製品(勾玉・石釧・合子身・琴柱形石製品)がある。銅鏡の配置より、大和王権との直接的な関係を認められる、南但馬最初の古墳と目される。

茶すり山古墳の第1主体部出土玉類

茶すり山古墳の第1主体部出土玉類(兵庫県)

位置:兵庫県朝来市和田山町
5世紀中葉に築造された直径約90mの円墳の粘土槨・組合式木棺から出土した。玉類の内訳は碧玉勾玉1、碧玉管玉15、緑色凝灰岩管玉18、ガラス小玉1207である。第2主体部からも玉類が出土しているが、第1主体部のものとは材質や数量が劣り、被葬者の身分差が反映されたと考えられる。