list_magatama和歌山県の古墳時代の玉類

和歌山県では、紀北地域の古墳を中心として、金属製の玉類をもつ古墳が多くみられます。銀製の玉類が多く、渡金したものもみられます。車駕之古址古墳からは国内で唯一の金製勾玉が出土しています。紀南地域ではすさみ町の上ミ山古墳から多様な玉類が出土しています。玉類の生産遺跡は発見されておらず、集落からの出土例は多くありません。 稀少性の高い金属製玉類や特殊なガラス玉は、首長墳や大型円墳から多く出土しています。これらの玉類は、朝鮮半島製の可能性が高く、古代豪族紀氏が半島にたびたび派遣されたという日本書記などの文献資料と符合するものと考えられます。
和歌山県の主な玉出土遺跡位置

車駕之古址古墳の出土玉類

車駕之古址古墳金製勾玉(和歌山県)
位置:和歌山県和歌山市木ノ本
 5世紀中頃の全長約130mの前方後円墳の墳丘から出土した。金製勾玉は、国内唯一の出土事例で朝鮮半島の新羅または伽耶地域からもたらされたと推定されている。長さ1.8cm・頭部直径0.8cm・重さ1.8gで15.4金とされる。頭部には細い帯状の上に珠文状に刻み目を付けたものを蝋付けしている。 ガラス製小玉も1000点以上出土している。

井辺前山6号墳の出土玉類

井辺前山6号墳玉類(和歌山県)
位置:和歌山県和歌山市井辺
 6世紀前半に築造された墳長約50mの前方後円墳の横穴式石室から出土した。玉類にはガラス製勾玉、ガラス製丸玉、ガラス製蜻蛉玉、ガラス製二色玉、碧玉製管玉がある。岩橋千塚古墳群の大型前方後円に副葬された玉類の状況がわかる良好な資料である。

上ミ山古墳の出土玉類

上ミ山古墳玉類(和歌山県)
位置:和歌山県すさみ町周参見
 6世紀前半に築造された直径約40mの円墳の横穴式石室から出土した。玉類は未盗掘の状態で調査され、その内訳は水晶製(なつめ)(だま)1、 琥珀製(こはくせい) 棗玉4、(うもれ)()(せい) 棗玉4 20、水晶製 切子(きりこ) 8、水晶製 算盤(そろばん)(だま) 6、水晶製丸玉16、 琥珀(こはく)(せい) 丸玉1、(へき)(ぎょく)(せい) 平玉3、管玉11、ガラス製管玉1、ガラス製丸玉1、ガラス製小玉226である。本県南部における後期古墳の多用な玉類としては唯一の出土資料である。