和歌山県では、紀北地域の古墳を中心として、金属製の玉類をもつ古墳が多くみられます。銀製の玉類が多く、渡金したものもみられます。車駕之古址古墳からは国内で唯一の金製勾玉が出土しています。紀南地域ではすさみ町の上ミ山古墳から多様な玉類が出土しています。玉類の生産遺跡は発見されておらず、集落からの出土例は多くありません。
稀少性の高い金属製玉類や特殊なガラス玉は、首長墳や大型円墳から多く出土しています。これらの玉類は、朝鮮半島製の可能性が高く、古代豪族紀氏が半島にたびたび派遣されたという日本書記などの文献資料と符合するものと考えられます。