list_magatama佐賀県の古墳時代の玉類

佐賀県では、弥生時代には唐津地域などで玉類が生産されていた可能性が指摘されていますが、現在のところ古墳時代に玉類を生産した遺跡は発見されていません。 玉類の多くは副葬品として古墳から出土します。古墳時代前期には翡翠製勾玉・碧玉製管玉・ガラス製小玉の組合せを基本とし、中期になるとそれに滑石や蛇紋岩、緑泥片岩製などの玉類が加わり、後期には玉類のバリエーションが最も多くなります。特に、古墳時代後期には、朝鮮半島から搬入されたと考えられる瑪瑙製玉類(丸玉・切子玉)やガラス製角玉、埋木製平玉などが出土し、佐賀県の地理的特性が表れていると言えるでしょう。 集落遺跡からは、祭祀に関係する遺構から滑石製玉類が多く出土します。また佐賀平野部では、土製の玉類(勾玉・小玉など)が井戸跡や溝跡などから出土する例が多くみられます。
佐賀県の主な玉出土遺跡位置

都谷古墳群ST014古墳出土の玉類

鳥栖市都谷古墳群(佐賀県)
位置:佐賀県鳥栖市萱方町字都谷
佐賀県東部の九千部山から南東にのびる尾根上に構築された古墳群。ST014は、6世紀後半に築造され、7世紀中ごろまで追葬された横穴式石室を持つ古墳で、石室中央のやや東寄りの位置から翡翠製勾玉1、水晶製切子玉7、水晶製平玉1、ガラス製丸玉2、ガラス製角玉1、瑪瑙製丸玉3などが出土している。鳥栖地域では、朝鮮半島から搬入された可能性が指摘されている瑪瑙製玉類や埋木製平玉など、多種多様な玉類が出土している。

東福寺古墳群ST014古墳出土の玉類

東福寺14号墳出土玉類(佐賀県)
位置:武雄市橘町片白
佐賀平野の西端、標高345mの杵島山の西麓に位置する古墳群。ST014は、直径が12.4mの円墳で、南西に開口する横穴式石室をもつ。石室内から翡翠製勾玉1、碧玉製勾玉3、瑪瑙製勾玉2、碧玉製管玉9、ガラス製管玉1、水晶製切子玉3、碧玉製切子玉2、瑪瑙製切子玉1、水晶製算盤玉1、瑪瑙製丸玉1、水晶製丸玉1、滑石製丸玉1、ガラス製トンボ玉5、ガラス製丸玉1などの豊富な玉類が出土している。

銭亀古墳出土の玉類

銭亀古墳出土玉類(佐賀県:伊万里市所蔵)
位置:伊万里市東山代町日尾
伊万里湾の西岸、国見山系の烏帽子岳から東に延びる舌状の段丘である日尾台地上に立地する。墳丘は削平されており、詳細な規模、形態は不明であるが、一部に残る外護列石から直径約15mの円墳と推定される。玉類は、横穴式石室の玄室内より出土しており、瑪瑙製勾玉1、碧玉製勾玉1、翡翠製勾玉1、碧玉製管玉8、瑪瑙製丸玉1、水晶製切子玉6、ガラス丸玉1、ガラス小玉多数、琥珀製丸玉1などが出土している。(伊万里市所蔵)