宮崎県の古墳時代の玉類 宮崎県では、墳丘を持つほとんどの古墳が昭和初期(10年前後)に国や県の史跡に指定されたため未調査であり、副葬品の内容を知ることができるのは、わずかな高塚古墳と在地墓制である地下式横穴墓に限られています。その限定的な状況の中にも、翡翠製勾玉やガラス製玉類・希少な雁木玉をはじめ、他地域からもたらされた各種玉類が見られることが、宮崎県の特徴と言えます。 また、集落遺跡から出土する玉類は、古墳出土品と異なる種類や組合せである点も指摘されます。なお、玉作り遺跡は今のところ未見となっています。 西都原111号墳・4号地下式横穴墓の出土玉類 位置:宮崎県西都市 西都原111号墳は、5世紀後半に4号地下式横穴墓の主体部として築造され、6世紀の初頭から前半にかけて墳頂に木棺直葬が追加された。下の写真は4号地下式横穴墓出土で、内訳は翡翠勾玉1、碧玉管玉16、緑色凝灰岩管玉11、ガラス丸玉115、ガラス小玉64、上の写真は111号墳木棺直葬出土で、内訳はガラス勾玉1・翡翠勾玉3・碧玉管玉11・緑色凝灰岩管玉18・ガラス小玉1400以上である。とくに後者は、青・黄・赤等のカラフルなガラス玉と緑色系の勾玉・管玉とのコントラストが美しい、宮崎県出土の古墳時代玉類の逸品である。 下北方5号地下式横穴墓の出土玉類 位置:宮崎県宮崎市 宮崎県指定文化財 下北方5号地下式横穴墓は、5世紀後半に下北方9号墳の主体部として築造された。玉類には、翡翠勾玉7(うち2点は大型)、紫水晶勾玉2、瑪瑙管玉2、ガラス管玉1、碧玉管玉23、ガラス変形半円玉8、ガラス大型丸玉57、ガラス丸玉540があり、地下式横穴墓から出土した玉類の中で最も多彩かつ美しく秀麗である。玉類の他には、金製垂飾付耳飾や短甲・馬具・刀剣類・鏡等も出土し、前方後円墳の副葬品に匹敵する内容となっている。 銭亀塚出土の雁木玉 位置:宮崎県串間市 6世紀に築造された銭亀塚の平石積石槨から、ガラス小玉・小型鏡等とともに出土した。赤・白・緑・黄の4色が練り込まれた、色鮮やかで美しいガラス玉である(直径1.1cm・高さ0.8cm)。同種の雁木玉は西アジアで生産されたと言われており、韓半島や日本列島における出土例は、アジアの東西を結ぶ壮大な交流のあったことを物語っている。
宮崎県の古墳時代の玉類 宮崎県では、墳丘を持つほとんどの古墳が昭和初期(10年前後)に国や県の史跡に指定されたため未調査であり、副葬品の内容を知ることができるのは、わずかな高塚古墳と在地墓制である地下式横穴墓に限られています。その限定的な状況の中にも、翡翠製勾玉やガラス製玉類・希少な雁木玉をはじめ、他地域からもたらされた各種玉類が見られることが、宮崎県の特徴と言えます。 また、集落遺跡から出土する玉類は、古墳出土品と異なる種類や組合せである点も指摘されます。なお、玉作り遺跡は今のところ未見となっています。 西都原111号墳・4号地下式横穴墓の出土玉類 位置:宮崎県西都市 西都原111号墳は、5世紀後半に4号地下式横穴墓の主体部として築造され、6世紀の初頭から前半にかけて墳頂に木棺直葬が追加された。下の写真は4号地下式横穴墓出土で、内訳は翡翠勾玉1、碧玉管玉16、緑色凝灰岩管玉11、ガラス丸玉115、ガラス小玉64、上の写真は111号墳木棺直葬出土で、内訳はガラス勾玉1・翡翠勾玉3・碧玉管玉11・緑色凝灰岩管玉18・ガラス小玉1400以上である。とくに後者は、青・黄・赤等のカラフルなガラス玉と緑色系の勾玉・管玉とのコントラストが美しい、宮崎県出土の古墳時代玉類の逸品である。 下北方5号地下式横穴墓の出土玉類 位置:宮崎県宮崎市 宮崎県指定文化財 下北方5号地下式横穴墓は、5世紀後半に下北方9号墳の主体部として築造された。玉類には、翡翠勾玉7(うち2点は大型)、紫水晶勾玉2、瑪瑙管玉2、ガラス管玉1、碧玉管玉23、ガラス変形半円玉8、ガラス大型丸玉57、ガラス丸玉540があり、地下式横穴墓から出土した玉類の中で最も多彩かつ美しく秀麗である。玉類の他には、金製垂飾付耳飾や短甲・馬具・刀剣類・鏡等も出土し、前方後円墳の副葬品に匹敵する内容となっている。 銭亀塚出土の雁木玉 位置:宮崎県串間市 6世紀に築造された銭亀塚の平石積石槨から、ガラス小玉・小型鏡等とともに出土した。赤・白・緑・黄の4色が練り込まれた、色鮮やかで美しいガラス玉である(直径1.1cm・高さ0.8cm)。同種の雁木玉は西アジアで生産されたと言われており、韓半島や日本列島における出土例は、アジアの東西を結ぶ壮大な交流のあったことを物語っている。