list_magatama広島県の古墳時代の玉類

広島県内には、1万基を超える数の古墳が確認されています。発掘調査が行われた古墳はごく一部ですが、13,000点を超える玉類が出土しています。出土する玉類のかたちや材質、一つの古墳から出土する数や組合せには、時期や古墳の大きさによって違いがあります。たとえば古墳時代前期には、碧玉製管玉とガラス製小玉の組合せが一般的で、大きな古墳ではヒスイの勾玉なども加わります。中期には滑石製の玉類が大量に副葬される古墳が出現し、後期になると、メノウや碧玉・水晶などを用いた大型の勾玉・管玉・切子玉が副葬される古墳がみられます。古墳に葬られた人物の政治的・経済的地位や時期ごとの文化・物資の流通を反映している可能性があります。
広島県の主な玉出土遺跡位置

石鎚山第1号古墳出土玉類

石鎚山第1号古墳出土玉類

写真:広島県立歴史博物館提供

 

位置:福山市加茂町
石鎚山第1号古墳は、神辺平野北側の丘陵上にある4世紀後半の古墳(直径約20mの円墳、県史跡)である。玉類はヒスイ製勾玉3点、コハク製勾玉2点、碧玉製管玉42点が、墳頂中心の竪穴式石室から出土した。出土位置は被葬者(壮年男性)人骨の左肘付近で、紐等で繋いで遺体の腕に巻き付けていたと推定されている。前期古墳出土玉類の組合せの典型例であるとともに、被葬者の遺体と玉類の位置関係がよく分かる事例である。県重要文化財。広島県立ふくやま草戸千軒ミュージアムで常設展示中。

亀山第1号古墳出土玉類

亀山第1号古墳出土玉類

写真:写真:広島県立埋蔵文化財センター提供

 

位置:福山市神辺町
亀山第1号古墳は、神辺平野北部にある独立丘陵上に立地する5世紀の古墳(直径約28mの円墳、県史跡亀山弥生式遺跡の一部)である。玉類は、主体部の粘土槨内に、鉄製武器・武具や竪櫛、石製模造品などの多様な遺物とともに副葬されていた。790点出土した玉類の大部分を滑石製品が占め(勾玉65点、小玉660点など)、県内における中期古墳出土玉類の組合せの特徴を表している例である。広島県立みよし風土記の丘ミュージアム・ふくやま草戸千軒ミュージアムで常設展示中。

金田(きんで) 第2号古墳 玉類出土状況

金田(きんで)第2号古墳 玉類出土状況

写真:広島県立埋蔵文化財センター提供、(公財)広島県教育事業団撮影

 

位置:庄原市口和町
金田第2号古墳は、広島県北東部にある6世紀末ないし7世紀初頭の古墳である。直径約15mの円墳で、主体部は長さ約5.3mの横穴式石室である。出土遺物は玉類のほか、須恵器、土師器、鉄器、耳環などがあるが、玉類は、2点の耳環の間に碧玉・メノウ・水晶・土製の勾玉と切子玉あるいは丸玉が交互に並んで出土したことから、頸飾りとして遺体につけられていたものと推測される。広島県立埋蔵文化財センターで保管中。