list_magatama福岡県の古墳時代の玉類

古墳時代を通して、福岡県域には数多くの古墳がつくられました。現在のところ、約1万基の古墳が確認されています。発掘調査が行われた古墳も多く、これまでの発掘調査で見つかった玉類は総数10万点近くにおよびます。 古墳から見つかった玉類は非常にバラエティに富んでいます。その中でも、海外に類例が求められそうな玉類の存在は、福岡県の特色をよく示しているといえるでしょう。 当時、玄界灘沿岸で暮らしていた人々は、海を介して朝鮮半島とさかんに交流をおこなっていたことがわかっています。古墳に副葬された玉類にも、そうした交流の一端をうかがうことができそうです。
福岡県の主な玉出土遺跡位置

山田1号墳出土玉類

山田1号墳出土玉類(福岡県)
位置:福岡県朝倉市
山田古墳群は、筑後川中流域にある3基の後期古墳群である。山田1号墳から1点だけ出土した、薄い水色の方形ガラス玉は、現在のところ福岡県内で10数点確認されている。国内での出土例は少なく、海外に由来を求めた方が良さそうに思われる。この古墳からは他にも、銀色をした重層ガラス玉や、鮮やかな橙色のメノウ小玉など、海外にゆかりの深い遺物が複数みつかっている。

上ヶ原古墳群出土玉類

上ヶ原古墳群出土 アマゾナイト(天河石)製丸玉(福岡県)
位置:福岡県糟屋郡久山町
上ヶ原古墳群は、福岡平野の奥部に位置する古墳時代後期・終末期の群集墳である。注目すべきは、10号墳から出土したアマゾナイト(天河石)製丸玉である。アマゾナイトは朝鮮半島で産出する石材である。弥生時代に限って我が国にもたらされたが、数はそれほど多くはない。上ヶ原古墳から出土したアマゾナイト製丸玉は、朝鮮半島に由来するというだけでなく、古墳時代のものであるという点でも注目すべき遺物である。

西新町遺跡の玉作り関連遺物

西新町遺跡 玉作り関連遺物(天河石)製丸玉(福岡県)
位置:福岡県福岡市早良区
西新町遺跡は、博多湾に面した古砂丘上にある遺跡である。遺跡からは朝鮮半島各地の土器も相当数含まれることから、交易を生業とした人々の集落だといわれる。 出土品の中には玉の生産に関する遺物も見られる。蛇紋岩を使った勾玉生産や、土製鋳型を用いたガラス勾玉、小玉生産を行っていたようである。 西新町遺跡は、各地域との交流はもとより、玉作りも含めた生業の多様さも示しており、興味深い。