list_magatama福井県の古墳時代の玉類

福井県では、弥生時代後期以降鉄製工具を用いた玉類の生産が行われます。古墳時代前期まで緑色凝灰岩を用いて玉類や腕輪形石製品が生産される玉作遺跡が確認できますが、その後生産は継続されません。 一方で、古墳時代中期以降、古墳に副葬される玉類は多様性を帯び、東アジアとの交流が色濃く反映される他製品とともに、装飾付ガラス玉などが列島内でもいちはやく導入されます。
福井県の主な玉出土遺跡位置

十善の森古墳の出土玉類

十善の森古墳の出土玉類(福井県)
位置:福井県三方上中郡若狭町
5世紀末〜6世紀初頭に築造された全長68mの前方後円墳の横穴式石室から出土した。十善の森古墳出土の装飾付ガラス玉には、紺色の丸玉に青緑色および黄色のガラスで象嵌された斑点文トンボ玉が19点、紺色と黄色の2色重ねガラス玉1、特殊な緑色ガラス象嵌玉1などがある。 このほかに出土している玉類は銀製空玉1、勾玉11(ヒスイ、ガラス)、管玉50(碧玉、ガラス)、棗玉30(ガラス、琥珀)、丸玉202以上(ガラス、琥珀)、平玉1(埋木)、小玉4547(ガラス3018以上、滑石23以上)などである。 斑点文トンボ玉のほか、馬具などにも朝鮮半島系の遺物が含まれ、東アジアという視点の中で玉類を研究していく好資料である。

天神山7号墳の出土玉類

天神山7号第1埋葬施設玉類(福井県)
位置:福井県福井市篠尾町
5世紀中葉に築造された全長50mの円墳の粘土槨の割竹型木棺から出土した。玉類の内訳は、首飾り1ガラス玉(青色)327個、首飾り2ガラス玉(青色)147個・ガラス玉(空色)42個・翡翠製勾玉1個、右足玉ガラス玉(青色)39個、左足玉ガラス玉(青色)48個、右耳飾ガラス玉(緑色)33個・ガラス製勾玉(緑色)1個・金製垂飾付耳飾 1個、左耳飾ガラス玉(緑色)29個・ガラス製勾玉(緑色)1個・金製垂飾付耳飾1個である。 朝鮮半島系金製垂飾付耳飾と玉類が共伴して出土しており、その構成まで復元可能な良好な資料である。

林・藤島遺跡の玉作素材・製品・鉄製工具

林・藤島遺跡の玉作素材・製品・鉄製工具(福井県)
位置:福井県福井市林町他
弥生時時代後期から古墳時代前期にかけての玉作遺跡から出土した玉作素材・製品と鉄製工具類である。弥生時代後期以降鉄製工具を使用して緑色凝灰岩を素材とした玉作が行われるが、林・藤島遺跡では鉄製工具が多数出土しており、その工程復元の貴重な史料である。平成26年重要文化財指定。